言えない二人
もも
「ももちゃーん。中村ももちゃーん。
・・・可愛い」
聞き慣れた甘い声。
同時に抱きしめられ感じる温もり。
「もう、これじゃあ絵かけないでしょ。」
美大に通う私は家でも絵を描かなければ追いつかない課題の量で
本当は集中して一人で描きたいんだけど、
「ぎゅーしてるだけだからいいでしょ!」
「今日は課題する」というメールを送ると、絵描いてるとこみたいなんて言って無理やり家に入ってきた。
「うん、ぎゅーだけならいい。」
そう言われやったあーとふわふわ笑う彼。
高校時代、サッカー部でバリバリに活躍していたくせに、
授業中はいつも寝てて。
そのくせまあまあ勉強できて。
染めてないのに栗色の癖毛である髪。
女子の理想とされる180センチの背。
それにこの顔面。
まあモテないわけがない。
彼の名前は高橋タイスケ。
私の恋人。
ん?恋人?
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