こいつ、俺の嫁。ーAnother my wife storyー
顔を覆っている手をどかそうと手を伸ばす。
でもどかす前に奴の顔が一気に私に近づいてきた。
「てか俺はいつまで"あんた"なんだ?」
「…は?」
言っていることが分からないけど、とりあえず距離をとろうと後ろに下がるも手首を掴まれて動けなくなった。
引き寄せられてさらに距離が近づく。
「未来、出会った時から俺のこと名前で呼んでねぇだろ。
こうして"付き合えた"んだから名前で呼んでくれてもいいだろ?」
「なっ!そんないきなり無理…っ!」
確かに奴と出会ってから今まで名前を呼んだことはない。
最初は興味なかったから名前すら覚えてなかったけど、自分の気持ちに気付いてからは…
…恥ずかしくて呼べるわけない。
「…ほら、呼んでみろよ。尋人さんって」
「ちょ…んっ…」
耳元で囁かれて、耳たぶを甘噛みされる。
手首から奴の熱が伝って、私の顔を全身を熱くする。