へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
 
 早くドアを開けろよ!

 
 激しくなり続けるチャイムから
 そんな声が聞こえた気がして。


 私は自分の顔を見られないように、
 うつむきながら玄関ドアを開けた。



「蓮見、俺がチャイム鳴らしたら、
 すぐに開けろよな!」



 すぐになんてムリだよ! 

 いつもなら、そう反論できるのに。



 一言でも言葉を発したら、
 涙が溢れそうで。

 唇を噛みしめることしかできない私。




「いつまで、俺様を玄関に立たせておくわけ?
 寒いんだけど」



「どうぞ……」



 かすれ声をなんとか震わす私に

 
「なんか、あった?」


 マトイの心配声が続くも


「何も……ない」


 そう答えるのが、精いっぱい。




 その時。

 陽だまりみたいな温かい声が、
 私の耳に降ってきた。
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