へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
「蓮見さ、風呂、まだだろ?」
頷く私に、優しい声が続く。
「入ってくれば」
「夕飯……作ってないから……」
「今日は俺が作るし」
「でも……
朝もマトイが作ってくれたから……」
「俺様の優しさ跳ねのけるなんて、
贅沢すぎなんだよ。蓮見は」
穏やかに微笑みながら
食材が入った買い物袋をテーブルに置くマトイに、
聞きたい。
なんで私に
そんな優しい言葉をかけてくれるの?
でも、そんなこと聞けなくて。
沈んだ心と一緒に、視線も床に落とす。
その時。
「綾星直伝のチャーハン。
食いたくねぇわけ?」
想定外の言葉にビックリして、
私はマトイに、視線を戻した。