へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目

 ドライヤーの音だけ鳴り響く部屋。


 蓮見も、俺に話しかけてこない。

 俺も、無言で蓮見の髪をなでている。




 俺の手が、蓮見のおでこに当たった時。


「ひゃっ!!」


 蓮見の肩が、ビクンと飛び跳ねた。



「なんだよ。
 ちょっと当たっただけじゃん」



「マ……マトイ……
 もう乾いたから。ありがとう」



 蓮見の慌て声は、
 普段のような落ち着きがなくて。



 蓮見も俺に
 ドキドキしてくれてんのかなって、 
 心が弾んだけれど。

 すぐに、冷静さが襲ってきた。



 俺が蓮見に言ったくせに……


 『俺に惚れるな』って。


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