へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
「次は、綾星」
「あ、はい」
「メンバーの中で一番羽化したのは、
間違いなく綾星ね」
「羽化って、俺、セミですか?」
真面目な顔で聞いてきた綾星に、
笑い声をあげちゃった。
セミって、地味過ぎ。
私としては、優雅に青空を舞う、
アゲハチョウを想像したんだけどな。
「まさか綾星が、
ドロ甘で痛い系に脱皮するとはね」
「俺のこと、けなしてます?」
「逆だよ。褒めてるの」
一生恋なんてしないって
言い張っていた綾星が。
恋のお守りソングを歌うのに
ふさわしい男になってくれたなって、
喜んでいるの。
「綾星には、謝らなきゃ」
「何をですか?」
「私、綾星と苺をくっつけようと
しちゃったでしょ?」
「苺とステージで歌わされたのって
そういう意図だったんですか?」
「ごめんね」
綾星にも、恋をしてもらいたくて。
本性を隠している者同士
お似合いかなって勘違いしちゃったの。