へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
「最後は、マトイ」
「俺は、いい」
「そうね。
特にマトイに伝えることはないかな」
「は~?」
なに?
本当は、何か言って欲しかったの?
その天邪鬼。
わかりにくくて、本当にかわいい。
フフフと笑いが漏れた私に
「笑ってんじゃねぇよ」と
マトイの不愛想な声が重なる。
「じゃあ、一つだけ」
「なんだよ」
私は自分の手のひらを
マトイのおでこにピタッとくっつけた。
「さわんじゃねぇよ」
目を吊り上げ、吠えるマトイなんて
気にしない。
「高1の私が、望んだ通りの男の子に
成長してくれて、ありがとう」
「それって……」
「安心して。
マトイに惚れているとかじゃないから」
私が惚れちゃいそうなくらい
カッコいい男の子になったねって
ことだから。