へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
その後の俺は。
自転車を必死に漕いだ。
蓮見にどうしても会いたくて。
自分の気持ちも
魔法界の王子だってことも、
全部伝えたくて。
だから
蓮見とは付き合えないって。
本当のことを、伝えたくて。
真冬なのに。
制服のブレザーの上に
コートなんて羽織ってねぇのに。
血液が沸騰するんじゃないかってほど
必死にペダルを漕いだ。
でも……
蓮見が住んでいたはずの部屋は。
カーテンがない窓に
『入居者募集』の看板が
貼り付けられていて。
もう蓮見は、
住んではいなかった。