へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目

 隣に座る蓮見の右手が伸びてきて、
 俺のデコに触れた。



 そのまま滑らすように、俺の頬に、
 蓮見の手の温もりが移っていく。



「マトイ……大好き……」



 脳を溶かすような甘い声が、俺の耳に届き。


 俺だけが映っている蓮見の瞳が、近づいて来て。



 弾力があって柔らかい唇が、俺の唇に触れた。



 俺……

 キス……されている……





 どうした、俺?

 
 大好きでたまらない女に
 キスをされているのに。


 体中の筋肉も、脳もカチコチに固まって。


 動いているのは、
 破裂するんじゃないかって心配になるほど
 飛び跳ねている、心臓だけ。



 蓮見の唇がふわりと離れていく。



「私流の……甘え方……だから」



 蓮見の恥ずかしそうなつぶやき声で、
 やっと呪縛の魔法が解けた。
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