へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目

 私は仰向けのまま、
 マトイに手首をつかまれ、必死に抵抗する。



 醜い顔で泣きじゃくって。

 頑固な女と嫌われてもいいって、
 覚悟を決めて。



 でもマトイは……

 絶対に自分の意見を、曲げてはくれない。



 その時。
 マトイの口から、かすれ声が零れた。



「もう俺のこと……

 解放して……」



 え?



 弱々しいマトイの声と共に、
 私の頬に感じた雫。



 見上げると
 私に覆いかぶさったままのマトイの瞳に
 大粒の涙が溜まっている。



「マトイ……?」



「もう……ムリなんだって……
 俺が……耐えられないんだって……」


< 278 / 421 >

この作品をシェア

pagetop