へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
「蓮見、お願い」
「え?」
「最後に……俺のわがままを聞いて……」
それって、
マトイとの思い出を消すってことだよね?
絶対にイヤ!!!
イヤ…… だけど……
拒むことなんてできない。
だって
涙を流すほど苦しんでいるマトイを
見続けるのが、辛いから。
私は、コクリと頷いた。
手のひらで涙をぬぐったマトイは、
私のおでこに、濡れた手のひらを当てた。
そして
涙を浮かべたまま私を見て、
苦しそうに笑った。
「俺が熱出した、小5の時からだからな」
へ?
「ずっと好きだったよ。蓮見のこと」
嘘……?
そんな長い間、
私のことを好きでいてくれたの?
「俺がいなくても……
幸せになれよ……」
マトイの声が
大好きなオルゴールのように優しくて
私は
大粒の涙をこぼすことしかできなかった。