へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
「マトイ君、本当にいいの?
俺たちの舞台公演に、ゲスト出演なんて」
「はい。もっと芝居がうまくなりたいので」
一応、本心。
だって、今の芝居レベルを比べたら。
圧倒的に蓮見の方が上で。
俺ががむしゃらに稽古しないと、
どんどん引き離されるのは、目に見えているから。
「稽古に参加できるのが、
今日を入れて3回しかなくてすいません」
「逆に、3回も時間を作ってくれて嬉しいよ」
海より心が広いんじゃね? この、染谷さんは。
威張りまくりの代表がいる劇団じゃなくて、
蓮見も良かったじゃん。と、
心をなでおろした時。
「マトイ君に、劇団のみんなを紹介するね」
染谷さんは、事務所の奥にある、
真っ赤なドアに手をかけた。