へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
「みんな、ちょっと集まってくれる?」
染谷さんの優しい声に、引き寄せられるかのように、
劇団の人たちが走ってきて。
俺と染谷さんを囲んだ。
「次の公演で主役を務めてくれる、
アミュレットのマトイ君です」
「高梨マトイです。よろしくお願いします」
90度に腰を曲げた俺に。
「よろしくお願いします」と、
高校の野球部並みの
礼儀正しい挨拶が返ってきた。
すげー。
みんながみんな、良い人そう。
「時間もないし、さっそく、
台本の読み合わせに入ろうね。
マトイ君、いいかな?」
「はい」
バックから台本とペンを取り出す。
さすがに緊張してきた。
第一声。
声がひっくり返んねぇと良いけど。