へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
「璃湖ちゃん。年下くんを惑わしちゃダメだよ」
「染谷さんっ!
思ったことを言っただけですから、私は」
蓮見さ、何、あわてて否定してるんだよ。
大好きな染谷さんに『勘違いしないで』って、
言っているように、聞こえるんだけど。
「マトイ君も気を付けてね」
染谷さんは、俺の耳元に顔を近づけた。
「何をですか?」
「璃湖ちゃん。
自分の魅力に気づいていない。天然ちゃんだから」
そうですね。その通りですね。
でも、その忠告はもう遅いんですよ。
俺なんて小5から、蓮見の毒に侵されまくって。
今だ、痺れたままなんですから。
「璃湖ちゃん、関口くんと渚ちゃんのセリフ読み、
お願いできる?
二人とも、遅れてくるみたいだから」
「はい。今、台本を持ってきます」
そう言って、あどけない笑顔を見せた蓮見。
すっげー可愛い笑顔なのに。
染谷さんにだけ向けられていたことに、
俺の肩が、分かりやすいくらいに沈んだ。