へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目

 何か、ごまかす言葉をかけないと。

 そう思っていたのに。



「マトイ君って。
 私のこと、知らないよね?」



 直球の質問が、
 曲がって逸れることなく、俺に飛んできた。



「もしかして……デビュー前……
 地元のライブ後の握手会に……
 来たことがあるのかよ?」



 苦し紛れないいわけ。

 どうよ? ごまかせたか?



「あ……ごめんね。
 へんなこと、聞いちゃって……」



 視線と共に、
 声のトーンも落とした蓮見。

 悲し気な表情に、俺の心まで痛みだす。



「俺さ、オマエのこと、なんて呼んだらいい?」



「みんなは、璃湖とか、璃湖ちゃんって。
 下の名前で呼ぶけど……」



「じゃあ『蓮見』でも、いいわけ?」



「え?」

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