へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
稽古場からアパートまで、
頼りない外套が灯る、薄暗い道を歩く。
歩きなれた道なのに
やっぱり、夜に一人で歩くのは背中がブルッとする。
その時。
「遅すぎ」
どこからともなく声が聞こえ
私はウサギのように、びょんって飛び跳ねた。
「不審者で通報すんなよ。俺だから」
ん? マトイ君?
な……なんで
こんな人気のない細道にいるの?
私のことを、待ち伏せしていた?
そんなはずはないと、分かっているつもりなのに。
胸が勝手に、バクバクをはじめ。
恥ずかしさで、
ついマトイ君から視線を外してしまう。