へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
現在、夜の10時過ぎ。
いつもの春なら
もう夢の中でスキップしている時間。
でも今日は、まだ帰ってきていない。
愛しのウサギの頭を、ナデナデしてんだろうな。
言霊神社で。
今日の夕方、春輝にお願いされた。
『言霊神社に結界を張って!
誰も入ってこられないように!』って。
10分間、背中にべったり
貼りつかれたのがウザすぎて
親父に怒られるのを覚悟で、唱えてやった。
人間界で俺が使える、唯一の魔法を。
俺、春にとことん甘いよな。
アイツが幸せそうだし。
ま、いいけど。
かわいく微笑む春を思い出し
フッと俺の口元がほころんだ。
でも、春の木漏れ日みたいな
穏やかな気持ちでいられたのは、一瞬だけ。
昼間にとってしまった、
俺の恥ずかしすぎる行動を思い出し
一瞬で顔がひきつる。
アミュレット1長い足を、机に投げ出し
俺は、椅子の背に体を預けた。