へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
蓮見の唇に触れたくて。
俺の唇で、蓮見を感じたくて。
俺はゆっくりと、蓮見の顔を引き寄せた。
まぶたを伏せ、目を閉じた蓮見。
俺を受け入れてくれたことに、
嬉しさが込み上げてくる。
蓮見の唇まで、あと1センチ。
たった1センチ。
それなのに。
それ以上、
俺の唇が、蓮見の唇に近づこうとしない。
目を閉じた蓮見に
俺は、情けない言葉を落とした。
「蓮見とは……無理……」
だって。
オマエの記憶を消した意味が、なくなるから。
俺と蓮見が結ばれることはないのに。
また俺なんかを好きになったら。
蓮見が、傷つくだけだから。