へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
舞台本番

 数日後。


 今日は舞台の本番で。

 蓮見と一緒にいられる、最後の日。



 この先、一生後悔しないように、
 蓮見とは笑顔でサヨナラしたいけれど。

 その願いは、きっと叶えられない。



 劇場入りして
 蓮見は笑顔で挨拶をくれたけれど。


 それ以降、目も合わせてくれない。

 忙しそうに、団員の着付けやヘアメイクをしている。



「マトイ君も、璃湖ちゃんにメイクをしてもらう?」



 楽屋の鏡の前に座る俺に、
 女の子が話しかけてくれたけれど。


「自分でできますから」


 俺は、穏やかに断った。




 だって。


 蓮見はもう、俺なんかと関わりたくはないだろうし。


 俺だって、これ以上蓮見に心を惑わされても、
 どうしようもできない。




 羽織袴の着付けも、メイクも、
 ヘアアレンジだって自分でできる。

 
 俺は小5の頃から、
 蓮見に叩き込まれてきたから。



 
 俺は、蓮見の希望通り、
 前髪と左横の髪をくるっとねじり、ピンでとめ。

 さっと羽織をまとい。

 本番のステージに向かった。

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