へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
蓮見と関わることなく、
あっという間に終わってしまった舞台。
客席とステージを仕切る、暗幕が下ろされ、
俺たちはステージ袖に引き込んだ。
「大盛況だったね。マトイ君、本当にありがとう」
「こちらこそ。
染谷さんに指導をしていただくたびに、
自分の演技が磨かれていくのがわかりました。
ありがとうございました」
深々と頭を下げた俺に、
染谷さんの柔らかい笑い声が届く。
「マトイ君。本当に真面目だね」
「いえ」
「うちの姫が気に入るのも、わかるなぁ」
え?
「マトイ君、引き留めてごめんね。
今から、仕事が入っているんだよね?」
「お客さんへのお見送りができなくて、すいません」
「そんなこと、気にしないで」
「お先に失礼します」
俺は染谷さんに微笑み、一人で楽屋に向かった。