へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
悔しくて。苦しくて。
心が締め付けられるように痛みだして。
顔をゆがめ。
嗚咽と共に痛みを吐き出すことしか
できない私。
クリスマス当日の昨日。
アミュレットの全国デビュー決定で
喜んでいた私を一気にどん底に突き落とした、
副社長とのやり取りを思い出す。
『璃湖ちゃん。俺からのクリスマスプレゼント
サイコーだったでしょ?』
『アミュレットをデビューさせてくれるなんて。
なんてお礼を言ったらいいか……』
『お礼なんていいから、俺と付き合ってよ』
『だから……彼がいますので……』
『俺。璃湖ちゃんの彼氏さんに、
負ける気しないよ』
『ごめんなさい』
『は~。ここまで粘ってもダメかぁ。
璃湖ちゃんから卒業しないとダメだね。俺』
やっと諦めてくれるんだと
安堵のため息を吐き出した私。
副社長が、とびきりの笑顔を向けた。