へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目

 ピンポーン。


 部屋中に
 甲高い音が鳴り響いたけれど。


 
 今は誰にも会いたくない。

 まだ、涙だって止まってくれない。


 
 だから、無視。



 それなのに。

 
 ピンポン、ピンポンと連打され。

 ドアを叩く荒々しい音まで、聞こえてきた。



 さすがに怖くなって。

 椅子の上で縮こまることしかできない私。



 やっと静かになったと
 胸をなでおろした時。


 ピコン。


 スマホの画面が、明るくなった。



『通報されて、
 俺が警察に連行されてもいいわけ?』



 ピコン。



『嫌なら開けろ。今すぐに』



 画面に浮かび上がる、俺様な文面。


 マトイらしい……
 


 フッと笑いが込み上げてきて

 あんなに流れていた涙が、一瞬で止まった。



 私もマトイに
 言わなきゃいけないことがあったんだ。


 
 『ありがとう』と、『ごめんね』

 両方とも。
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