へたれアイドル王子 卒業します アミュ恋 4曲目
 
 とりあえず逃げ出さなきゃと思うのに。

 
 もがけばもがくほど
 マトイの腕の力が強くなって。


 逃げ出せない。



「ちょ……ちょっと……
 マトイ……離して……」



「ムリ」



 ムリって何よ! 


 
 これは、イタズラ?


 それとも


 7年間、鬼マネージャーとして
 マトイを怒鳴り続けた、仕返し??




 謝るから。 


 土下座しろって言われたら
 素直に従うから。



 だから……


「離して……」



 私の口からこぼれた、弱々しい声。



「蓮見さ。
 俺に抱きしめられたくらいで、
 顏、赤らめんじゃねえよ」



「赤くなってないし」



「鬼の仮面取っても、
 気が強いとこは、変わんねぇな」



 どうせ私には、可愛いなんて言葉
 似合わないんだから。
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