【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~

やっぱりこの人は面倒見が良い。

空っぽになった鍋や食器をキッチンに持っていくと、手早く片づけを始める。

私の空になったコップにお茶を注いで。 何て言うか、すっごく落ち着く。 今まで自分の事は自分でしてきた。誰かにこんなにお世話になった事はない。

横屋敷家に来て使用人の坂本さん達が私のお世話をしてくれるけど、それはそれですごく気を遣う。 けれど何故か朔夜さんの前では気を遣わずに、その好意に甘える事が出来た。


それはこの人が人に気を遣わせないように接してくれているからで
押しつけがましくもなく、ごく自然に気遣いの出来る人だからだと思う。
温かい陽だまりの下に居るような温かいオーラ。瞳の色といい、不思議な人だと思う。


浴槽には、お花の香りがする入浴剤。透明のお湯をピンク色に染めた。
スーパーやドラッグストアに置いていない高級そうなシャンプーが幾つも並んでいた。

中にはピンクのパッケージの苺の香りなんてメルヘンチックなシャンプーやボディソープもあって、ちょっとだけへこむ。

こんなの朔夜さんが自分で使うとは到底思えない。見た事のない、彼いわく’普通’の彼女さんの使っている物なのかもしれない。

その他にもシュガースクラブ等も置いてあり、ちらほらと女の影が見える浴室だった。

それを素直に朔夜さんに言うと、顔をしかめられた。

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