【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
「自社の商品の試供品で溜まっていくだけなんだが?」
そう言われたら、納得せざる得ないけれど。
苺のシャンプーは香りがすごく良かった。髪もしっとりした気がする。そう素直な感想を述べると、朔夜さんは嬉しそうに使用感について詳しく訊いてきた。
だから彼の言っている言葉に嘘はないのだろう。 小さな事ばかり気にしている自分が馬鹿らしくなる。
このマンションに出入りしている女性が何人いようが、浴室を利用している彼女がいようと、彼が細やかな気遣いを見せる女性が私だけじゃないって事も
そんなのどうでもいい事の筈なのに。 どうしてこんなにモヤモヤするんだろう。 悠人さんの彼女達の写真を見た時は素直に可愛い子達だねって思えたのに。
自分の心が狭くなっている理由、それだけが理解不能だった。
こんな感情知らない。 自分の中で芽生えた事のない感情に出会う時は恐怖でしかない。
自分もお風呂に入って来ると言って、朔夜さんはテキパキと説明をしてくれた。
寝室はそこで、ベッドを使っていい。
温かい飲み物が欲しかったら日本茶から紅茶までキッチンの引き出しに入っている。
お湯は電気ケトルの中の物を使え。
冷蔵庫の中の物は好きにしていい。
全くどこまでも面倒見の良い人だ。口が悪いから伝わりずらくはあるのだが…。