【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
寝室をそっと開くと、その部屋はリビングと同様片付けられていた。 というか、リビングと一緒でほぼ物がない。
だだっ広い部屋の中でぽつんとベッドが置かれている、だけ。 それも大きなベッドではなく、黒のシングルベッド。
床には投げ捨てられるように缶ビールの空き缶二つと、吸い殻が入った銀の灰皿だけ。
黒のカーテンを引くと大きな窓から東京タワーのオレンジの光が見えた。
暖房も入れられていた。 というか…私はこのベッドで寝ていいのだろうか…?
それとも他の部屋にもベッドがあって、ここはゲストルーム的な部屋なのだろうか。 いやそれは無いと思う。
殺風景で真っ黒のシングルベッドしかないその部屋は、余りにも朔夜さんのイメージ通り過ぎる。
布団に包まると、煙草と朔夜さんの香水の香りが混じり合った、どこか居心地の良い匂いがした。
不思議。すごく眠たい。 さっきまで全然眠くなかったのに、自分の中を色々な感情が巡っていてぐちゃぐちゃだったのに
今とても寝たい。 …この匂いは、とても居心地が良い。
夢を見た気がした。