【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
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「―おかあ…さん。」
「お母さん!」
「お母さんってば!」
真っ黒に塗りつぶされた世界に、ぽつりと母だけ切り取られたように白い顔。
息をしていないのにはとっくに気が付いたけれど、何度も呼び掛けた。
中学生だった私を性的対象に見た義理父は「面倒な事をしてくれやがって」と遺体になった母にさえ慈しみの言葉を投げかける事はなかった。
古い畳の匂い。
母のつけていた甘すぎる香水の香り。
義理父の、煙草とお酒の混じった匂い。
あの家の、全ての匂いに吐き気を催した。
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