【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
智樹さんの言葉に鼓動がドクンと飛び上がる。
誰にも話せなかった自分の秘密を何故か彼の前でだけ話せた事。
彼の胸の中で居心地が良いと思ってしまった事。
彼に触れられ、あの不思議な瞳で見つめられると、熱情にも似た気持ちがこみ上げてくる事。
そして、この期に及んでその感情の正体が分からない振りをしている事も。
そしてその想いを智樹さんに話してはならないと自分の頭の中、警告音が鳴る。
「意地悪ばかりで… 私は朔夜さんにはあんまり好かれていないから」
鏡越し、智樹さんの視線を逸らす。 目を見て話したら動揺が伝わってしまうんじゃないかって怖かったのだ。
「二人と仲良くするのは嬉しい事だけど、まりあは俺の物だけで居て欲しい。」
ぎゅっと抱きしめる力が強くなる。いつも通り優しい声のトーンだけど、私はこの人の考えている事が分からない。
どうして私と結婚をしたいなんて?一緒にいたいって言うの? 俺だけの物で居て欲しいなんて…。
本音には到底聞こえなかった。だって彼の視線は私を通り越した何かを見ている気がする。 どんなに優しく語りかけたって、まるで違う人に言っているみたいに聴こえる。
この違和感は一体何?
この館の中で私を飾り立てて、あなたがしたかった事。
ハッキリとしてしまうのは、次の日だった。
横屋敷家の人間が集まる中で、彼は驚く事を口にした。
私の中で芽生え始めた気持ちは、燻ぶり続けたままだった。