【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
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たかが親戚同士の集まりとはいえ、その日の横屋敷家はピリピリとしたムードに包み込まれていた。
朔夜さんと悠人さんがきっちりとしたスーツに身を包むのも珍しい事だったし、横屋敷家の使用人達は朝から慌ただしく動いている。
迎えられたのは、祖父の兄弟の息子や娘達。 ただの親戚同士の集まりが、私の目にはお金持ちのパーティーにしか見えなかった。
いつもは数人しかいないダイニングルームの長いテーブルに、ずらりと並ぶ一般人とは明らかに装いの違う人達。 いつもならばきっと祖父が座るであろう上座に智樹さんが堂々と腰をかけている。
朔夜さんと悠人さんが並び、その横に私が座る。
横屋敷家の血を引く人間達が、彼らをよく思っていないのは雰囲気で分かった。
けれどもっと好奇な視線を向けられたのは、その彼らの隣に座っている私だった。視線がチクチクと突き刺さるように痛い。
どこかピリついた空気の中で会食は始まった。 集まった親戚は智樹さん達よりもずっと年上の大人ばかりだった。
「智樹さん、春太さんの具合いはどうなんだ?」
「お陰様で現在は落ち着いています。」
「でも退院が出来るって話はないんだろう。 ただただ痛みを抑える治療をしているって話ではないか」
「ええ、そうですね。彼のご希望です。」