【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
「会社の方は智樹さんに任せているようだが、本当に大丈夫なのかね?」
「ご心配なく。
春太さんの仕事を一番近くで見てきたのは僕だと思っていますから。
その証拠に春太さんが倒れた後、横屋敷グループの売り上げは下がってますか?
数字が全てを物語っているかと思いますが?」
大人相手に智樹さんは一切怯む様子がなく、淡々と笑顔を崩さないまま話し続けた。
寧ろ集まっている横屋敷家の人間の方が、たじろいでいるように思える。
智樹さんにはその場を支配するような独特のオーラがある。
「生意気な…。横屋敷家の当主にでもなったつもりか?
もう少し自分の立場を弁えたまえ」
「けれど僕以上に現在横屋敷グループを大きく出来るような能力のある人間が見当たらないのですが?
部下の方から色々と訊いております。
紘一叔父様の会社売り上げの方が下がっていらっしゃるんではないですか?」
「君は生意気なのだよ!横屋敷家の正当な血を引いた者でもないくせに!
春太さんがどう思っていようが、我々は横屋敷家の人間だ。そして君達は違う。
それを弁えておけと私は言っているんだ」
横屋敷グループのトップを虎視眈々と狙っている人物は沢山居る。
ここに集まった人間全てが、智樹さんに厳しい視線を向けていた。
隣に居た悠人さんがぼそりと私に耳打ちする。