【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~

私は智樹さんのプロポーズをOKした訳ではない。

けれどこんな大勢の横屋敷家の人間を前にして、彼に恥をかかせるわけにはいかないじゃないか。

そして智樹さんはそれを狙っていたんだと思う。 だって悠人さんや朔夜さんにこの事は一切伝わっていなかった。彼らの様子を見ればそんなの、分かる。

「まりあ、おいで」

智樹さんに手を引かれ、収集がつかなくなった私はその場で小さく頭を下げる。

「智樹さん…結婚って…」

「どちらの家柄の娘さんなの?」

「春太さんがこんな時に結婚ってあなた…」

「彼女は、春太さんの血を継ぐ人間です。
横屋敷家の正式な継承者でもある。」

はっきりとそう告げた智樹さんの言葉に、周囲が急にざわつきだす。

「彼女は、あゆなさんの実の娘です。
僕と彼女が結婚をすれば、何も問題はないでしょう?
彼女は横屋敷家の権利を全て持っている。春太さんも横屋敷家の権利は全て彼女に譲ると言っている。」

「あゆなの?! だってあゆなは横屋敷の家を出たって。
それに何年か前に亡くなっていると聞いているわ…。
娘が居たの?!」

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