【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~

「誰の事を想っている?」

ぴたりと私の体を蠢く手は止まり、ゆっくりと振り向くとそこには自分のズボンのベルトに手をかけ、冷たく私を見下ろす彼の姿があった。

「まりあ、俺の言う事を訊け。
俺は春太さんの代わり、横屋敷グループのトップに立つ。
そうすれば、朔夜を横屋敷から追い出す力を持つだろう。
守りたい物があるのならば、大人しく俺を受け入れろ」

体の力が抜けた。  もう抵抗する気力はなかった。 自然に涙が零れ落ちて行くのが分かった。

後ろから智樹さんが私を貫いていく事だけが分かった。 吐息混じりの声が漏れていく。

私はまるで人形のように智樹さんを受け入れて、私の中を動く彼を前にもう何も抗う事が出来なかった。

その日一晩中、智樹さんは私を乱暴に抱いた。 そこに愛なんてものはないのにとっくに気が付いていた。 


中学生の時無理やり純潔を奪われた。 それから沢山の男に抱かれ、汚れ切っていた自分が何も知らなかった時に戻れるなんて思っていない。

誰に抱かれようと何も感じなかった。性欲を満たすだけの行為などに心を動かされなかったから。

でも私は愛していた。  初めて、誰かを好きになっていたのに気が付いたんだ。

 でももう遅い。私は朔夜さんを好きになってしまった時、二度目の純潔を失ったのだ。

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