【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
第六章 初恋。
第六章 初恋。
季節がめまぐるしく動いていく。 半月ほど、横屋敷家に朔夜さんは姿を現さなかった。
智樹さんはまるで人が変わったように冷たくなり、それでも気まぐれに私を抱いた。抵抗はしなかった。
’自分はトップに立つ人間だ。’朔夜を横屋敷家から追い出す力を持つ’
智樹さんはとっくに私の弱みを見抜いていたのかもしれない。 その時を待っていたのかもしれない。
「まりあ様、悠人様が…」
「あ。坂本さん。」
「悠人様がいらっしゃっています。」
「そうですか、 今行きます。」
「まりあ様…本当に智樹さんとご結婚されるつもりなんでしょうか…?」
初老の女性は訊きずらそうに訊ねる。 気が付けば、この館でこの人はいつも監視しているように私を見つめていたこの人。
それこそが智樹さんの差し金だった気がしなくともないが。元々この大きな館には私の味方なんていない。
坂本さんの言葉に曖昧に笑う。
「さぁ?どうなるんでしょうかね…」
優しく見せかけていた智樹さんの本性なんて私は知らない。
それでも横屋敷家を手中に収めたい、智樹さんの欲望はよく伝わって来た。