【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
「まりあに買ってきたんだからいいんだけどさぁー…。はい、これ半分こ。ピスタチオだって、美味しそう~」
そう言って、緑色のマカロンを半分個に割って、私へ差し出す。
誰かと分かち合える幸せがこの世にある事は知っていた。 けれど…私は智樹さんの言うままに彼と結婚して、家庭を築き、幸せを分かち合う事は出来るのだろうか。
そもそも彼は私を愛していない。 それはこの半月で、彼に抱かれたあの日を境に痛感してしまった。
彼が欲しい物は横屋敷の権利で、祖父の唯一の肉親である私を利用したかっただけの事。 私と結婚すれば、スムーズに横屋敷の権利を手に入れられる。あの小うるさい親戚達にも何も言わせないだろう。
愛していないどころか、彼が私を抱く時憎しみさえ感じた。
「ねぇ、まりあは本当に智樹さんと結婚しちゃうの?」
「え?」
「いや、まりあはそれでいいのかなーって。まりあの気持ちはそれでいいの?って俺は思うのです。
大体智樹さんったら俺や朔夜にも何の相談もなしにまりあと結婚したいなんて言うなんてさー」
「智樹さんは私を愛してるから結婚したい訳ではないんですよ。彼が欲しいのは、横屋敷家の遺産と権利ですから」