【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~

「それは困っちゃう。でも朔夜は彼女を泣かせまくっちゃって、すっごく困っちゃってるみたい。
最近横屋敷家に余り来てないだろう?それも彼女が原因。精神的に不安定になっちゃってるみたいで、つきっきりみたいなんだよねぇ~」

「そうなの…?」

「うん。朔夜って何だかんだいって面倒見が良い人だからねぇ~…。それに優しいし、弱ってる人間を放っておけないっつか…
そういう優しさは、相手も自分も苦しいだけなのにね…」

いっつもは無邪気に笑う悠人さんが、マカロンをかじって悲しい顔をする。
朔夜さんに彼女が居るのは知っている。あの夜に何気ない会話の中で聞いた。
でも人伝いで彼女の存在を今聞くのは、ちょっときつい。

「喧嘩した原因知りたい?」

「ん?」

「朔夜と彼女が喧嘩した原因。 精神的に不安定になるまで、朔夜が彼女を泣かせちゃった理由。」

「どーせあの人の事だから彼女さんに無神経な事を言ったんでしょう…?」

困った顔のまま、悠人さんが首を横に振る。
悠人さんがかじったマカロンは、緑色。それは朔夜さんの不思議な色の瞳と同じだった。

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