【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
誰もが私の横を通り過ぎて行った。 ずっと欲しかった愛情を、私は手に入れられない。そうやって自分に言い聞かせて諦めて
でも私は気が付いてしまった。どうしても手放したくない物がこの世にあると。
この執着が、歪んだ私の初恋の形だったのだ。
「朔夜さんが…好き。」
いつもは呑み込んでしまう言葉を、どうしてこの時に言ってしまったのか。
掴んだ指先は震えていた。瞳をぎゅっと閉じて、自分の言ってしまった事を後悔しないようにぐっと唇を噛みしめる。
「まりあ……」
けれど腕は離されてしまった。 その代わりふわりと私の体を包み込む大きな体。
ゆっくりと瞳を開けると、陽に照らされて少し透けたグリーンの瞳が、切なく笑っていた。
「沢山行ってみたい所があるのは分かったけれど、一度には無理だよ。」
「分かってます…。あれはついつい私の願望が口をついて出てしまっただけで
困らせてしまって本当にごめんなさい…。」
あんな我儘を言って、朔夜さんを困らせるつもりはなかったのに。
「とりあえず、じーさんの病院に行こう。
んで、まりあが俺と行きたい所はこの先一つ一つ回って行こうよ」