【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~

朔夜さんが私の目線まで高さを合わせてくれる。 どうして、そんなに優しい顔をするの?
どうして抱きしめた腕を離してくれないの?

ぎゅっと力が強くなって、私の顔を真っ直ぐと見つめたままゆっくりと言った。

「俺も、まりあが好きだ――」

好きだ、と言う言葉がこんなに暖かく耳に響いた事は今までなかった。
芽生え始めた初めての想いを、恋を、どうか永遠に続きますように。

私を包み込む温もりよ、どうか離れて行きませんように。
願いはいつも届かない。 叶ったように見せかけて、指の隙間するりと通り過ぎていく。



知らぬうちに、溺れていた。

足首に巻き付いた水草が絡みつき、私を逃がしてくれはしない。
いつの間にか深い深い青の中、ただただ堕ちて行った事に私はまだ気がついていなかった。


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