【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
抱きしめる力が強くなる。熱い体温。暗がりの中で見えた朔夜さんの顔は、とても切なかった。
触れたくなる。もっともっと近づきたくなる。 何もしてこない彼にもどかしささえ感じて、こんなにもあなたに触れたがっている自分がここに居る。
「朔夜さん?」
「ん?どうした?狭くて眠れねーか?」
「違うの。 朔夜さん、キスをして」
ゆっくりと唇が重なって行く。熱を帯びた熱い唇。
あの海で、私を救ってくれた口づけ。深く深く私の中を侵食していくような、熱いくちづけ。
あなたが欲しい――。
こんなにも求めていた。
私が欲しかった愛情。やっと手に入れたもの。
けれどそんな欲しかった物さえ、容易く引き離される運命に居た事を私はまだ知らない。
首筋から背中にかけて無数にあなたが残した赤いしるしが、どこまでも私達の恋を許しては下さらなかった――。