【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~

ずっと誰かに愛されたかった――。もうどこにも離さないで。

私を世界で一人きりなんて思わせないで欲しい。

本当にそれは’誰か’だったろうか。 智樹さんも望んでいた様に、私が欲しかった物は
何をしても許される、温かい木漏れ日の様な’家庭’だったのではないだろうか。

家族という繋がりで、一つの水槽で安堵の息を漏らしたかった。 私達は違う。やっぱりだけどどこかで似ている。

歪で、軋んでいて、今にも崩れ落ちそうで、その想いはどこまでも純粋だった。

「…私、智樹さんが行った場所が分かるかもしれない」

私があなたならば、終わらせる場所は同じな筈だ。



―――――



どこまでも無限に広がっていく様な空虚な暗闇。 あの日と同じ、月明かりだけがただただ水鏡に映る冷たい海。

空と海の境界線が曖昧で足元が震える。

その黒は、どこか絶望に似ていた。 黒の切れ目が分からない。 寄せては返す波先だけうっすらと白く染まるだけ。

一定のリズムを刻む水音は誘うようにこちらへ何かを問いかけている。

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