【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
悠人さんが面食いなのは理解した。 けれど彼女が何人も居るのはいかがなものか。驚きはしないけれど、私だってそういうろくでもない男とばかり付き合ってきた。
男性に夢は元々持てなかったけれど、悠人さんは気持ち良い位あっけらかんと「皆彼女」と言うから嫌悪感は抱かなかった。
「そんなに彼女が沢山居たらいつか刺されますよ」
「えーでもさぁー彼女達も納得済みで俺と付き合ってるんだから良くない?!」
「恐ろしい世界ですね…」
「別に彼女達だって俺の容姿やお金を見て付き合ってるからいいでしょう。
まあ恋愛なんか等価交換みたいなもんだよね」
人懐っこくて可愛らしい悠人さんは、明るい口調で冷めた事を言う。
やっぱりこの家に住む人達は、どこか歪だ。
世間一般で言う正しい人間関係を築けない。 どこか捻くれていて、悲しい。
そんな事を言うならば、私が1番の欠陥品である事は間違いないのだろうけど。
私達四人は、形は違えど親に捨てられた人間同士の集まりだ。 その悲しい集まりが家族を形成していくのはちょっぴり切ない。
祖父が親に恵まれなかった三人を養子にしたのは、母を失った罪滅ぼしのつもりだったのだろうか。
悠人さんのあっけらかんとした明るさは、少しだけその切なさをかき消してくれた。