【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
「まりあさー、これからどうすんのー?」
「私は、働きに出ようかと思ってます」
その言葉に雑誌を手にしていた朔夜さんの眉が僅かにぴくりと動いた。
「働くの?!別に働かなくってもよくない?!
だって横屋敷家に居れば何不自由なく暮らせるよ?!」
「私はいつまでも横屋敷家にお世話になるつもりはないので…」
「でもさぁーまりあ中卒でしょう?働くにしても厳しくない?
あ!そうだ。横屋敷グループの会社で働けばいいじゃんッ。智樹さんの社長秘書とか」
「全く仕事が分かりません。それに智樹さんに迷惑になると思うし」
「そぉーかなー。智樹さんは嬉しいと思うけどね、ね?朔夜」
朔夜さんは読んでいた雑誌をぱたりと閉じた。 そして視線をやっと私の方へ向けてくれた。
少しだけ彼の過去に触れた。けれど向けられた視線は相変わらず友好的とは言い難かった。
「お前さ、中学の頃は頭が良かったろ?」
「まぁ…悪くはなかったと…」
私のどこか陰湿な雰囲気は同級生には受け入れられなかった。 いじめに近い物があって、人から距離を置かれていた。
だからする事と言えば勉強位で、行き場もなかった時は図書館にこもり本ばかり読んでいた。
その為、成績だけはいつも上位にいた。 特別勉強が好きだった訳じゃない。友達も居なく暇だったのだ。