【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
「まだ20歳だろう。人生何も遅くねぇよ。今からでも高卒認定でも受けて大学にでも進学すりゃあいいじゃねぇか。
まぁ横屋敷の力を使えば大学には裏口入学も出来るとは思うけどな」
「そんなの…!」
「そんなズルは嫌なんだろ、どーせ。
全く損をするぜ、そんな生き方ばかりしてると」
朔夜さんには私の心が読まれている気がしてならない。
「じゃあ勉強すればいいじゃん。ここに居る分には生活に困る事はないだろうし」
私の事を嫌っている癖に、彼の口から出る言葉達はほんのりと優しい。
「朔夜何だかんだ言ってまりあに優しいねぇ~」
私の隣、肩を掴みニヤニヤと笑う悠人さんの悪戯な笑み。
チッと舌打ちをして朔夜さんは再び雑誌を開く。
「ねぇ~それよりさぁ~、まりあデートしない?」
「デート?!」
「うん。家に引きこもりっぱなしじゃあ息もつまるでしょう?
出掛けると言えば春太さんの病院ばっかりじゃん。たまには息抜きで遊ぼうよー」
軽薄な言い方だったけれど、彼は私を気遣っている。 確かにこの館に来てから、私が出掛ける用事と言えば祖父の病院位だった。
つまらなくはないけれど、別に刺激が欲しい訳でもない。毎日、このままここに居る訳にはいかないとばかり考えていた。