【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~

悠人さんは友好的だったが、朔夜さんはどうやら私を快くは思っていないらしい。
冴えない表情を見ればそれは直ぐに分かる。

私に背を向けたままベッドに腰をおろす彼は、不思議な色の瞳でジーっとこちらを見つめたままだ。

何て目力のある人だろう。 けれどその瞳は恐ろしい程に冷たい物だった。

「もー、朔夜はこういう感じだから気にしないで。
朔夜、そんなにまりあを睨んだら怖がっちゃうじゃんか。ただでさえ冷たい顔してんだからさー」

「うるせぇ、睨んでねぇ。元々こういう顔だ。」

人の目をジッと見て話す人だ。 思わず投げかけられた視線から目を離すように下を向いた。 人と目を合わせるのは、昔から苦手なんだ。

「どうして…私の名前を知っているの…?
あなた達は一体何…?」

下を向いたまま訊ねる。 彼らは私を探していたと言った。探していたという事は私を何らかの理由で必要としていた事。

心当たりは無かった。 私は誰からも必要とされていない人間だからだ。きっとあのまま海の中で死んでしまっても、この世で私を想い涙を流す人は一人も居ない。

悲しいけれど、それが現実だ。 生まれた星は誰にも選べやしない。

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