【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
「椎名まりあさん。君は椎名あゆなさんの娘さんだよね?」
「どうして母の名前を…?!」
悠人さんは少しだけ困ったように眉尻を下げた。
「あゆなさんが亡くなったのは、まりあが中学生の時だったか。
それからは血の繋がらない親戚の家をたらい回し。絵に描いたような不幸だね。
中学時代は仲の良かった女友達から裏切られて、苛めにあっちゃったんだっけ?
中学を卒業してお世話になっていた親戚の家を飛び出してからは…ウーン…やばい男に関わっちゃったね。
半ぐれの人間になんか関わらない方が絶対良いのに~…」
「それはこいつが自分で選んだ事じゃねぇか。どんな環境下に置かれたってまともに育つ奴はいる。」
「朔夜は手厳しいなぁ~…
でも、まりあ本当に付き合うべき人間は見定めるべきだよ~?自分の為にならないからね。
詐欺まがいな事をして人を騙している人間とは関わるべきではない。知らないうちに犯罪の片棒を担ぐ羽目になっちゃうからね」
「朱に交われば赤くなるってな」
笑いながら軽口で話す悠人さんとは対称的に、朔夜さんはどこかしらけた感じでかったるそうに言葉を投げ捨てるように喋る。
「しゅにまじわれば?」