【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
どこへ行っても人口の景色ばかりが目に付く。 自由なんて本当はどこに行ってもないのかもしれないと感じ始めていた。
あの水族館で囚われていた魚のように、私達もこの街に囚われ、生きている。 自由はもしかしたら心の在り方だったのかもしれない。 私はそれにまだ気が付かずにいる。
「結構遅くなっちまったな」
「明日は出張ですからねぇ~」
「別に俺の事じゃねぇよ。智樹さんももう帰って来てんじゃねぇの。
心配してるかもな。今日俺達と遊びに行く事、智樹さんに言った?」
「お伝えしましたよ。自分も行きたかったけど、仕事が忙しいから楽しんでおいでって言ってました」
「ふん、心にも思ってない事がよく言える」
朔夜さんは馬鹿にしたように投げ捨てた。
思わずふっと小さな笑みがこみ上げる。
「まりあさ、本当に高校認定受けんなら俺資料集めちゃる。
どっちにしてもお前は地頭は悪い方ではないんだから、勿体ない。
じーさんの受け売りだけど、学歴は人生の邪魔はしねぇぞ」
「やっぱり朔夜さんは優しい人ですね」
「はあ?勘違いしてんなよ。 どーせ他人に頼るのが苦手な性格なら、自分で生きる道位自分で決めた方が楽だろーって意味だ」