【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~

カップを持つ手がぴたりと止まる。 出会った時から所作が優雅な人だと思う。

まるで横屋敷家の為に生まれてきた様な人で、養子とは思えなかった。 祖父の代わりに横屋敷グループの先頭に立っているのも、この人だ。

朔夜さんは自分の好きな事を仕事にしている。それが例え横屋敷グループの傘下の会社であっても、でもこの人は基本的に祖父の代わりの仕事をしている。

商談をまとめたり、接待をしたり。

忙しい最中でも私への気遣いを怠ったりはしない。 いつだって完璧な笑顔を崩さない。 初めはそれがこの人の優しさだと思っていた。

「何それ、俺が女好きみたいな言い方」

「慣れてるなあーとは思いますけど」

「止めてよ、朔夜や悠人じゃあるまいし。
そんな事より水族館楽しくって良かった。」

「楽しかったです。 悠人さん遅刻しちゃって朔夜さんすっごく怒ってましたけど」

「悠人は約束の時間1時間は遅刻すると見た方がいい」

「あはは、でも朔夜さんがメイクしてくれたり洋服選んだりしてくれました。
自分でやるとどうしても上手に出来ないから、助かりました。」

「へぇ、朔夜が?」

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