【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~
智樹さんの笑顔が一瞬曇る。
そして直ぐに口を開いた。
「まりあ一人で自信がないと言うならば、俺と一緒に横屋敷グループを守って行くのはどうだろう?」
「一緒に?」
智樹さんの言っている言葉の意味が理解出来なかった。
「まりあ、俺と結婚してくれないか?」
「は……?」
ぶつかり合った視線の先、もう智樹さんは笑ってはいなかった。
真剣な眼差しで、こちらを見つめる。 笑顔の仮面を脱ぎ去った先にある瞳は、やはりどこか窮屈で歪なものだった。
結婚しようと私に言った筈なのに、彼の瞳の先は私の真後ろにある水槽ばかり映っていた気がする。
ブルーライトに反射した瞳の奥に、色とりどりの魚たちが優雅に舞っていた。
本当にこの館に閉じ込められ、囚われていたのは
私だったか、彼だったか。