友達から恋人になる方法
「なる、とりあえず家に帰らなきゃ。こんなに濡れて……」


「帰りたくない」


ああ、わがまま言っちゃ、ダメなのに。


ただでさえ、こんな私にゆうはきっとあきれてるのに。


「じゃあ、俺ん家来る?」


優しく、落ち着かせるようにゆうが言った。


「え?」


「今は、誰もいないから、制服乾いて、なるが落ち着くまで」


申し訳ないと思いながらもうなずくと、ゆうは私の方に傘を傾けて、手を引いて歩き出した。


「ごめんね、ゆう」


私の精一杯の言葉にゆうは、優しく返す。


「いいって」


こんなことされたら、認めちゃうよ。
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