桜花の剣士
いつからいたのか、紺色の軍服を着た男性が立っていた。その手には流華のものと思われる軍服がある。

「私は雪、未桜は桜、廉太郎は雷、凛は蝶、芽衣は炎の力を剣に込めて戦っている。君に与えられたのは水の力だ」

「は、はあ……」

流華は軍服を受け取る。水色に白い模様が描かれた軍服だ。そして未桜から「これがお前の刀」と重い刀を渡された。

「訓練などは明日から入れよう」

「今日はもう帰って指導は明日からね」

海斗と芽衣がそう言い、流華はこの訳のわからない状況が夢であってほしいと思ってしまう。しかし、どれだけ頬を抓っても痛いのだ。

「これからよろしくな」

未桜に手を強制的に握らされ、流華はもう平凡な日常へと戻れないことを察する。その先にあるのが希望か絶望か、それは今は判断することはできない。

「まあ、決まったことは仕方ありませんね」

水は流れに逆らわない。流華はこの非日常を少しずつ受け入れようと決め、刀を握り締めた。
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