転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
アイリーシャは地面にぺたりと座り込んでいるから、頭を下げているエドアルトの方は完璧な土下座である。
この国に、土下座の文化があるとは思ってもいなかった。
(――ってそうじゃなくて!)
エドアルトの後頭部を見ながら考え込む。
この場合、謝罪すべきなのはアイリーシャの方ではないだろうか。
「あの、頭……上げてください……その、私も、よく考えたら……よくなかった、ので」
ごそごそとハンカチを出して、涙を抑えてからそう口にする。のろのろと頭を上げたエドアルトは、また申し訳なさそうな顔になった。
「あんなに見事に隠れているのが君だとは思わなかったんだ」
「……いえ、お気になさらず」
どうしよう、ものすごくいたたまれない。うろうろと視線をさ迷わせる。
「――どうして、こんなところにいたんだ?」
「ちょっと、人が多すぎて酔ったみたいで……それで、涼みに出てきたんですけど。そろそろ、中に戻ろうとしていたところでした」
「そうか――しかし、見事な"隠密"だった」
「――殿下!」
今度は、アイリーシャが頭を下げる番だった。
「スキルのことはご内密に……!」
この国に、土下座の文化があるとは思ってもいなかった。
(――ってそうじゃなくて!)
エドアルトの後頭部を見ながら考え込む。
この場合、謝罪すべきなのはアイリーシャの方ではないだろうか。
「あの、頭……上げてください……その、私も、よく考えたら……よくなかった、ので」
ごそごそとハンカチを出して、涙を抑えてからそう口にする。のろのろと頭を上げたエドアルトは、また申し訳なさそうな顔になった。
「あんなに見事に隠れているのが君だとは思わなかったんだ」
「……いえ、お気になさらず」
どうしよう、ものすごくいたたまれない。うろうろと視線をさ迷わせる。
「――どうして、こんなところにいたんだ?」
「ちょっと、人が多すぎて酔ったみたいで……それで、涼みに出てきたんですけど。そろそろ、中に戻ろうとしていたところでした」
「そうか――しかし、見事な"隠密"だった」
「――殿下!」
今度は、アイリーシャが頭を下げる番だった。
「スキルのことはご内密に……!」